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猫の腎臓病、予防のためにできること7選|獣医師が解説する習慣と早期発見のポイント

猫の腎臓病、予防のためにできること7選|獣医師が解説する習慣と早期発見のポイント

「腎臓病の予防って、何かできることはありますか?」

こういう質問をしてくれる飼い主さんは、少し先のことを考えていて、それはとても大切な姿勢だと思います。

正直に言うと、猫の慢性腎臓病(CKD)を「完全に防ぐ」ことはできません。加齢・遺伝・体質など、どうにもならない要因が関係しているからです。

ただ、「発症を遅らせる」「早期に見つける」「進行を抑える」ことは、日々の習慣と定期検診で十分に可能です。
そのための7つの習慣を、根拠とともに解説します。

このコラムでわかること

猫の腎臓病を「予防」する考え方 / 飼い主が今日からできる7つの習慣 / 早期発見につながる検診の考え方 / ノア動物病院の腎臓ドックについて

1. 猫の腎臓病は「予防」できるのか? ──正直な話から始めます

猫の慢性腎臓病は非常に多い病気です。15歳以上では約30〜40%の猫に認められるという報告もあります。これだけ多いということは、「かかることがある程度宿命に近い病気」でもあります。

だからといって何もしなくていい、というわけではありません。
「完全予防」は難しくても、「発症・進行を遅らせる」ことは医学的に意味があります。実際、適切な習慣を続けた猫と続けなかった猫では、腎臓の状態に明確な差が生まれます。

「予防」というより「腎臓を長持ちさせる生活習慣」と考える方が正確かもしれません。

2. 腎臓を守る7つの習慣

① 水分を十分に摂らせる──最も確実なケア

猫は本来、水をあまり飲まない動物です。乾燥地帯出身ということもあり、食事から水分を摂るように体ができています。この特性が、慢性的な脱水を招きやすくしています。

慢性的な水分不足は腎臓への血流を低下させ、少しずつネフロン(腎臓の濾過装置)を傷めます。これは腎臓病のリスクを高める最も直接的な要因のひとつです。

ウェットフードへの切り替えは最も効率よく水分を増やせる方法です。
体重4 kgの猫なら1日の理想的な水分摂取量は約160〜200 mL。ウェットフードを100 g食べると約75〜80 mLの水分が摂れます。ドライフードだけでは補えない量です。

流水式の給水器、複数か所への水皿設置なども有効です。
「うちの子は水を飲まない」と思っている飼い主さんは、まず水皿を置く場所と器の素材を変えてみてください。

② 定期的な腎臓検診を受ける──「変化を捕まえる」検診

腎臓病の初期(ステージ1〜2)は、ほとんど症状が出ません。
多飲多尿は腎機能の約2/3、血液検査の異常は約3/4が失われた段階で現れるとも言われています(個体差があります)。

症状が出てから受診したのでは、すでに中期以降に進んでいることが多い。これが「猫の腎臓病は気づいたときには進んでいた」と言われる理由です。

「何か変だな」と感じたときではなく、「何もないとき」にこそ検査する。それが腎臓病対策の核心です。

ノア動物病院では7歳以上の猫に対して年4回の腎臓健診をお勧めしています。
検査でわかることは「今日の数値」ではなく「数値の変化の流れ」。毎回の結果を時系列グラフで確認することで、「止まっているか」「じわじわ進んでいるか」が見えてきます。

③ リン・ナトリウムの多い食事を避ける

リンは腎臓病の進行を最も左右する栄養素のひとつです。リンが血中に蓄積すると腎臓の線維化が進み、残存機能を奪っていきます。腎臓病の診断前であっても、リン・ナトリウムの多い食事を日常的に与えることはリスクになります。

一般フードの中でも、おやつ・缶詰・高齢猫向けでない製品にはリン・ナトリウムが多いものがあります。7歳を過ぎたら原材料表示を意識して選ぶ習慣をつけると良いでしょう。

また、猫で致死的な急性腎不全を起こす危険がある植物があります。
ユリ属(Lilium)やデイリリー属(Hemerocallis)の植物です。花・葉・花粉はもちろん、花瓶の水を舐めただけでも危険です。絶対に室内に置かないでください。

また、チューリップやヒヤシンスなど他の球根植物も中毒を起こしますが(主に消化器症状)、ユリの腎毒性は特に深刻で、少量でも命に関わります。

④ 歯周病・慢性炎症をケアする

歯周病と腎臓病の関係は、近年注目されています。
口腔内の細菌が血流に乗って腎臓に到達し、慢性的な炎症を引き起こすことが腎機能低下の一因になり得ると考えられています。

歯周病のある猫では腎臓病の発症率が高いというデータが報告されており、デンタルケアは腎臓を守る習慣のひとつとして位置づけられています。

毎日の歯磨きが理想ですが、難しければデンタルガム・デンタルウォーターの活用、年1回以上の歯科検診から始めてみてください。

⑤ 肥満・急激な体重変化を防ぐ

肥満は高血圧・糖尿病・脂肪肝のリスクを高め、これらはすべて腎臓への負担につながります。
また過剰な体脂肪は慢性的な低度炎症の原因にもなります。

逆に急激な体重減少も危険です。特に高齢猫で突然体重が落ちてきた場合、腎臓病・甲状腺機能亢進症など何らかの問題が隠れていることが多いです。体重は月に1回程度、自宅で計測する習慣をつけると変化に早く気づけます。

⑥ ストレスを減らす

慢性的なストレスは血圧などの測定値を上げることがあり、腎臓病の正確な評価を難しくすることがあります。また食欲や生活リズムにも影響します。
ストレスがCKDの直接的な原因になるかはまだ研究途上ですが、ストレスを減らす環境づくりは全身の健康管理に有益です。

⑦ 薬の副作用に注意する──特に鎮痛薬・NSAIDs

人間用の薬を、飼い主さんの判断で猫に与えることは絶対にしないでください
特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であるイブプロフェンやアスピリン(イブ、バファリンなど)は猫に深刻な腎毒性を持ち、アセトアミノフェン(タイレノールなど)は致死的な毒性を持ちます。

「少量だから大丈夫」は通用しません。
また、これらの薬を猫が誤って舐めたり飲み込んだりしないよう、保管場所にもご注意ください。

猫に薬を使う場合は、必ず獣医師が処方したものを使用してください。

3. 7歳から始める「腎臓ドック」──ノア動物病院の年4回健診

「予防」で最も効果があるのは、結局のところ「早く見つけること」です。

猫は7歳を境に腎臓病リスクが急上昇します。この時期から定期的に腎臓の状態を数値で把握しておくことが、最も確実な「腎臓を守る投資」です。

検診の内容目的
血液検査(Cre・SDMA・BUN・リン・カリウム等)腎機能の変化を「流れ」で追う。SDMAはクレアチニンよりも早期に変化するため、初期発見に特に有効
尿検査(尿比重・UPC・尿沈渣)腎臓が尿を濃縮できているか確認。タンパク尿の早期発見
血圧測定高血圧は腎臓・目・心臓を同時に傷める。無症状のまま進行することが多い
腎エコー(超音波)形態的な異常(大きさ・構造変化)を確認。血液検査に変化が出る前の段階で捕捉できることがある

ノア動物病院では検査結果を「腎臓年齢」として可視化し、毎回の推移グラフをお渡ししています。「今日の数値」より「変化の流れ」を一緒に見ていきましょう。

4. よくある質問

Q. 若い猫でも腎臓病になりますか?

A. 慢性腎臓病は主に中高齢猫(7歳以上)で多く見られますが、若い猫でもなることはあります。遺伝的な要因(先天性多発性嚢胞腎など)や感染症・中毒・急性腎障害からの移行など原因はさまざまです。若いうちから年1回の検診を受けておくと、万一の場合でも早期に対応できます。

Q. 市販の「腎臓サポート」フードは効果がありますか?

A. 市販の「腎臓サポート」と表示されたフードは、獣医師が処方する療法食とは成分設計が異なります。リン・ナトリウムの含有量は比較的低めのものが多いですが、腎臓病と診断されたあとに使うものではなく、あくまで「腎臓への負担を減らす一般食」と考えてください。腎臓病と診断されたあとは獣医師が処方する療法食が基本です。

Q. 予防接種や薬が腎臓に影響することはありますか?

A. 通常の予防接種は腎臓へのリスクは低いとされています。一方で、NSAIDs(鎮痛薬)や一部の抗生物質、造影剤などは腎臓への負担になり得ます。特に既存の腎機能低下がある猫に使用する場合は慎重な判断が必要です。何か薬を使うときは、必ず担当獣医師に腎臓の状態を伝えてください。

Q. 腎臓病の家族歴がある猫(親きょうだいが腎臓病)は特に注意が必要ですか?

A. 特定の猫種(ペルシャなど)では遺伝性の嚢胞腎が知られていますが、それ以外でも遺伝的な要因は腎臓病リスクに影響する可能性があります。家族歴がある場合は、7歳を待たずに健診を始めることを検討してください。

まとめ

猫の腎臓病を完全に防ぐことは難しくても、「発症を遅らせる」「早く見つける」ことは十分に可能です。今日からできることは、難しいことではありません。

腎臓を守る7つの習慣(再掲)

  • ① 水分を十分に摂らせる(ウェットフード・給水器の工夫)
  • ② 定期的な腎臓検診を受ける(7歳以上は年4回が目安)
  • ③ リン・ナトリウムの多い食事・おやつを控える
  • ④ 歯周病・口腔ケアを怠らない
  • ⑤ 肥満・急激な体重変化に注意する
  • ⑥ ストレスの少ない環境を整える
  • ⑦ 猫への投薬は必ず獣医師に相談する

ノア動物病院では7歳以上の猫を対象に、年4回の腎臓ドックを実施しています。「まだ症状はないけど心配」という段階から、ぜひご相談ください。

ノア動物病院(山梨/東京・八王子)

猫ちゃんの慢性腎臓病について詳しく知る

ノア動物病院では、腎臓病と付き合っていくだけではなく「ならせない」ケアに力を入れています。
まずは猫ちゃんの慢性腎臓病について詳しくご説明した下記のページをご覧ください。

\ もっと詳しく知る /

猫の慢性腎臓病 完全ガイド
AUTHOR

ノア動物病院 代表/獣医師

林 文明