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①IRISステージ解説

Stage1〜4の症状・検査値・治療方針・余命の考え方

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慢性腎臓病

IRISステージ解説

「うちの子はステージ2です」と言われたとき、それが何を意味するのか、すぐにわかりますか?

IRIS(アイリス)ステージは、猫の腎臓病の「今の状態」を世界共通の基準で表す分類です。ステージによって、検査の頻度・使う薬・食事の内容・通院のペースが変わってきます。

このページでは、IRIS(アイリス)ステージ1〜4のそれぞれについて、「今何が起きているか」「何をすべきか」「どんな未来が見えるか」を丁寧に解説します。

※このページでわかること

IRIS(アイリス)ステージの分類基準(Cre・SDMA・サブステージ) / 各ステージの症状と体の変化 / ステージ別の治療・食事・通院の指針 / 余命・予後の正直な話 / 各ステージで飼い主さんが今すぐできること

1. IRIS(アイリス)ステージとは何か

IRIS(アイリス)とは「International Renal Interest Society(国際獣医腎臓病研究グループ)」の略称です。世界中の獣医腎臓病の専門家が集まり、猫・犬の慢性腎臓病(CKD)の診断・管理に関する国際ガイドラインを策定しています。

IRIS(アイリス)ステージは主に「クレアチニン(Cre)」の値をもとに1〜4の4段階に分けられます。これに「SDMA」「尿タンパク(UPC)」「血圧」を加えた「サブステージ」評価も組み合わせることで、より精密な管理ができます。

ステージ クレアチニン(猫) SDMA 腎臓年齢
※イメージです
進行の特徴 検査頻度
Stage 1 Cre 正常(< 1.6) <18 50代 機能低下はあるが代償できている段階 3〜6か月
Stage 2 Cre 1.6〜2.8 18〜25 60〜70代 軽度の低下。管理次第で長く安定できる 3〜4か月
Stage 3 Cre 2.9〜5.0 26〜38 80代 中等度の低下。合併症への対応が鍵 1〜2か月
Stage 4 Cre > 5.0 > 38 90代以上 高度の低下。QOL最優先の管理に移行 2〜4週間

※ SDMAはクレアチニンより早期に上昇するため、小柄な猫・高齢猫での早期発見に特に有効です。SDMAが持続的に >14 µg/dL の場合は早期CKD(Stage 1相当)を疑う根拠になり得ます。

※ 上記は目安です。同じ数値でも症状・体重・年齢・合併症により総合的に判断します。

サブステージとは?

IRIS(アイリス)ではCre値によるステージ分類に加えて、「血圧」と「尿タンパク(UPC)」でリスクを細かく評価します。これを「サブステージ」といいます。

サブステージ 基準 リスク 対応
血圧:高血圧なし 収縮期血圧(SBP)< 140 mmHg 低リスク 定期モニタリング継続
血圧:前高血圧 SBP 140〜159 mmHg 中リスク 生活習慣の見直し+モニタリング強化
血圧:高血圧 SBP 160〜179 mmHg 高リスク 降圧治療(アムロジピンなど)を開始
血圧:重篤な高血圧 SBP ≥ 180 mmHg 緊急リスク 失明・脳卒中・腎悪化のリスク。即日対応が必要
UPC:非タンパク尿 UPC < 0.2 低リスク 定期モニタリング継続
UPC:タンパク尿境界 UPC 0.2〜0.4 中リスク 2か月以内に再検査。悪化傾向なら治療へ
UPC:タンパク尿あり UPC > 0.4 高リスク テルミサルタン(ARB)などで治療を開始

2. IRIS(アイリス)ステージ1 ——「腎臓が少し疲れ始めている段階」

Stage 1:Cre 正常 / SDMA <18

体の中では何が起きている?

腎臓の機能はまだ正常範囲内を保っていますが、早期の指標であるSDMAが上昇し始めています。SDMAが持続的に上昇している場合、研究ではGFRが約25〜40%低下した時点で上がり得ることが示唆されています。ただし個体差があります。

この段階で発見できるのは、年4回の定期健診でSDMAを測っているからです。クレアチニンだけを測る健診では、まずわかりません。

症状

ほとんどありません。飼い主さんが日常生活で気づくレベルの変化は出ていないことがほとんどです。

強いて言えば「水を少し多く飲むようになった気がする」「尿の色が少し薄くなった」程度。見逃しやすいサインです。

ノア動物病院での管理方針(Stage 1)

管理項目 内容
食事 療法食への完全移行はまだ不要なケースが多い。ただし高リン食・高ナトリウム食は避ける。
水分 飲水量を増やす工夫を始める。ウェットフードへの移行、給水器の設置、複数か所に水皿を置くなど
血圧 毎回の健診で計測。160未満なら経過観察
基本的に薬物療法は不要。UPC・血圧のサブステージで「高リスク」と判断された場合のみ追加を検討
検査頻度 3〜6か月ごとに血液・尿検査・血圧測定。SDMAの推移グラフで「進んでいるか」「止まっているか」を一緒に確認します。【対応プログラム:ライトケア〜スタンダードケア】

Stage 1 で飼い主さんが今すぐできること

①飲水量を増やす工夫をする(ウェットフード・給水器の設置)
②3〜6か月ごとの検診を欠かさない
③「今の食事のままでいいか」を担当の先生に確認する

Stage 1 の予後について

早期に発見され、きちんと管理を続けた場合、Stage 1のまま長期間(数年〜それ以上)安定する子は珍しくありません。

重要なのは「今は元気だから大丈夫」という油断をしないこと。Stage 1で発見されたことは、その子にとって最大のアドバンテージです。

3. IRIS(アイリス)ステージ2 ——「進行を抑えることに一番効果が出る段階」

Stage 2:Cre 1.6〜2.8 / SDMA 18〜25

体の中では何が起きている?

腎機能は正常の50〜75%程度まで低下しています。クレアチニン値がはっきり上昇し、「腎臓病と診断される」段階に入ります。ただしこの段階ではまだ腎臓は代償機能を維持しており、食事・薬・水分管理によって進行速度を大きく抑えることができます。

「まだ軽い」と思わないでください。Stage 2での管理が、その後2年・3年の経過を決める分岐点です。

症状

多くの猫でまだ目立った症状は出ていません。ただし細かく観察すると変化が見えてきます。

  • 多飲・多尿(水をよく飲む、トイレの量が増えた)
  • 体重がじわじわ落ちてきた
  • 毛並みが少し悪くなってきた
  • 高血圧の場合、目の充血や血圧上昇に伴う神経症状が出ることも

ノア動物病院での管理方針(Stage 2)

管理項目 内容
食事 腎臓療法食への移行を本格的に開始する時期。リン制限が特に重要。ノア動物病院では全メーカーの腎臓療法食を5種類その場で試食できる「テイスティングBAR」を設置しており、食べたフードを「腎臓食カルテ」に記録。「うちの子が食べる療法食がわかる」状態で治療を始められます。詳しくは「食事・療法食ガイド」ページをご覧ください。
リン管理 目標血中リン値:6.0 mg/dL未満。食事で下がりきらない場合はリン吸着剤(炭酸ランタン・水酸化アルミニウム等)を追加
水分 ウェットフード中心に。自宅での経口補水も選択肢に入れる
血圧 SBP 160以上が続く場合はアムロジピン(降圧薬)を開始。目標SBP 140未満
尿タンパク UPC > 0.4 の場合はテルミサルタン(ARB)で治療を開始。タンパク尿は腎臓へのダメージを加速させます
検査頻度 3〜4か月ごとに血液・尿検査・血圧測定。「Creの推移グラフ」を毎回お渡しして一緒に管理します。【対応プログラム:スタンダードケア(月1回モニタ・専任看護師フォロー)】

Stage 2 で飼い主さんが今すぐできること

①療法食に切り替える(テイスティングBARを活用)
②リンの高い食べ物(一般フード・おやつ)を控える
③水を飲む量・トイレの回数を毎日チェック
④3か月後の検査の予約を入れる

ノア動物病院

③食事・療法食ガイド

猫の腎臓病における食事管理の重要性と療法食の選び方を解説。「食べてくれない」悩みへの対処法、ノア動物病院のテイスティングBAR、AIM活性化療法食、ステージ別の食事方針まで、続けるための工夫をまとめました。

Stage 2 の予後について

Stage 2は「管理効果が最も出やすいステージ」です。食事・血圧・UPCの管理を継続することで、数年にわたってQOLを保てる子が多く報告されています。

反対に、療法食を継続できない・血圧管理を怠るなどの場合、1〜2年でStage 3に移行するリスクも高まります。

4. IRIS(アイリス)ステージ3 ——「合併症との戦いが始まる段階」

Stage 3:Cre 2.9〜5.0 / SDMA 26〜38

体の中では何が起きている?

腎機能は正常の25〜50%まで低下。この段階になると、腎臓が担っていた複数の機能が同時に弱ってきます。

  • 老廃物(尿毒素)が血中に蓄積し始め、全身に影響を与える
  • 貧血(エリスロポエチン産生の低下)
  • 低カリウム血症・高リン血症が顕在化
  • 高血圧・タンパク尿がさらに腎臓を傷める「悪循環」が始まる

Stage 3では「腎臓病を管理する」だけでなく、「合併症をひとつひとつ抑える」ことが中心になります。

症状

この段階からはっきりした症状が出てきます。

  • 食欲の低下・食べムラ・体重減少
  • 嘔吐・吐き気(尿毒素の影響)
  • 元気がなく、寝ていることが増えた
  • 水をたくさん飲むのに、脱水気味になっている
  • 貧血で歯茎が白っぽい

ノア動物病院での管理方針(Stage 3)

管理項目 内容
食事 腎臓療法食を継続。食欲低下が顕著な場合は「食べられること」を最優先にしつつ、リン・ナトリウムの管理は続ける。ノア動物病院のテイスティングBARで、その時点で食べられるフードを定期的に見直すことも有効。少量頻回の給餌も取り入れます
水分・補液 自宅での皮下補液(輸液)が選択肢に入ってくる段階。「脱水が目立つ」「食欲低下が激しい」場合は在宅輸液の指導を開始します
貧血対策 Hct(ヘマトクリット値)20〜25%以下、またはQOL低下が著しい場合はダルベポエチン(造血刺激薬)の投与を検討
吐き気対策 マロピタント(制吐薬)などで食欲・体重の維持を補助。「食べられている」ことが生命力を支える
カリウム補給 低カリウム血症が進むと筋力低下・頸部腹屈(首が下がる)の原因に。グルコン酸カリウムなどで補充
検査頻度 1〜2か月ごと。体重・血圧・Cre・貧血指標(Hct)・電解質を総合的にモニタリング。【対応プログラム:アドバンスケア(月2回モニタ・点滴投薬設計・専任看護師フォロー)】

※在宅皮下補液について

Stage 3以降で「もっと楽にしてあげたい」と思ったとき、自宅での皮下補液は有力な選択肢です。ノアのライフサポートプログラムでは、看護師が実際のやり方を丁寧にレクチャーします。「難しそう」と思っている方も、多くの飼い主さんが慣れて続けています。

Stage 3 の予後・余命について

「Stage 3と言われたらもうすぐ…」と思う方は多いですが、それは正確ではありません。

管理の質・合併症の有無・発見時の年齢によって大きく異なり、Stage 3で安定した管理を続けながら1〜3年以上生存する猫も多くいます。

重要なのは「余命を数える」のではなく、「今日の状態を少しでも快適に保つ」ことです。貧血・血圧・食欲を丁寧に管理することが、最も直接的に「穏やかな時間」を延ばします。

5. IRIS(アイリス)ステージ4 ——「残っている機能を大切に守る段階」

Stage 4:Cre > 5.0 / SDMA > 38

体の中では何が起きている?

腎機能の残存は正常の25%未満。老廃物(尿毒素)が大量に血液中に蓄積し、全身に深刻な影響を与えます。これを「尿毒症」といいます。

  • 重篤な食欲低下・嘔吐・体重減少
  • 重度の貧血(ぐったりしている・歯茎が真っ白)
  • 口臭(アンモニア臭)
  • 高度の脱水
  • 意識障害・けいれん(重症の尿毒症)

ノア動物病院 Stage 4 の治療方針——「治す」より「快適に過ごす」

Stage 4では、腎臓の機能を回復させることはできません。この段階の治療の目標は「QOL(生活の質)を最大限に維持すること」に切り替わります。

管理項目 内容
食事 「食べられるものを食べられるだけ」を最優先。療法食へのこだわりよりも体重維持・栄養確保を優先するケースもある。担当獣医師と相談を
皮下補液 在宅での毎日〜隔日の皮下補液が生活の質を保つ大きな柱になる。腎臓への血流を維持し、尿毒素の排泄を助ける
尿毒症対策 活性炭製剤(コバルジン等)で腸内での尿毒素吸着。制吐薬・食欲刺激薬で食べられる状態を維持
貧血 重度の貧血にはダルベポエチン継続。輸血が必要になるケースも
痛みの管理 尿毒症による不快感・倦怠感を緩和する対症療法を組み合わせる
通院頻度 2〜4週間ごと、または状態に応じて随時。「通院がつらい」場合は往診・在宅中心への切り替えも相談できます。【対応プログラム:ライフサポート(在宅皮下点滴指導・食欲QOL管理・緊急優先対応)】

「どこまで治療するか」——それは飼い主さんが決めていいことです

Stage 4では「どこまで治療するか」という選択が生まれます。積極的な治療を続けるか、緩和ケアに移行するか。ノアのライフサポートプログラムでは、その子の状態と飼い主さんの気持ちを丁寧に聞きながら、一緒に方針を決めていきます。正解はひとつではありません。

Stage 4 の予後・余命について

Stage 4の予後は個体差が非常に大きく、一概には言えません。数週間から数か月というケースもあれば、適切な管理で6か月〜1年以上穏やかに過ごせる子もいます。

「余命を宣告する」より、「今日のその子の状態」を見ながら、一歩一歩一緒に考えるのが私たちのスタンスです。

6. 検査の数値が上がったとき、どう受け止めればいい?

検査結果を受け取るたびに不安になる……そういう飼い主さんはとても多いです。ここで大切な考え方をひとつお伝えします。

「数値の点」ではなく「数値の線」を見てください

先月より0.1上がっても、半年かけてじわじわ上がっているのと、2週間で急上昇したのでは意味が全く違います。ノアでは毎回の検査後にCre・SDMA・尿比重の推移グラフをお渡ししています。「今日の数値」より「流れ」を一緒に見ていきましょう。

また、ステージが上がること=「失敗」ではありません。適切に管理しながら長く過ごせていること自体が、その子と飼い主さんの努力の成果です。

7. よくある質問

Q

Stage 2 と診断されました。余命はどのくらいですか?

A
管理の質・合併症の有無・年齢によって大きく異なります。Stage 2できちんと管理を続けた場合、数年にわたってQOLを保てる子は多くいます。「余命を数えること」より「今のステージで何をするか」に集中するのが最も大切なことです。
Q

Stage 1 と言われましたが、症状がないのに本当に腎臓病なのですか?

A
症状がないのが「Stage 1らしさ」です。猫の腎臓病は腎機能の大部分が失われた段階で症状が現れます(多飲多尿は約2/3、血液検査の異常は約3/4が目安。個体差があります)。Stage 1で発見できたことは非常にラッキーな早期発見です。症状が出る前から管理を始めることが、最も長い時間を生み出します。
Q

クレアチニンの値が少し上がりました。すぐにステージが上がりますか?

A
1回の検査だけでステージを決定することはしません。IRIS(アイリス)ガイドラインでも「少なくとも2週間以上の間隔を空けた2回の検査で確認する」ことが推奨されています。数値の一時的な変動(脱水・食事など)の影響もあるため、推移を追って判断します。
Q

他の病院では「Stage 3」と言われましたが、ノアで検査したら「Stage 2」でした。どちらが正しいですか?

A
検査を行ったときの猫の状態(脱水の有無・直前の食事・ストレスなど)でクレアチニン値は変動します。また、IRIS(アイリス)の基準値は改訂されることもあります。どちらが正しいというよりも、複数回の推移を見ながら総合的に判断することが重要です。気になる場合はぜひご相談ください。
Q

IRIS(アイリス)ステージとAIM(エーアイエム)の注射薬は関係がありますか?

A
AIM(エーアイエム)注射製剤(2026年承認申請予定)の適応については、承認後に詳細が明らかになります。現時点では「どのステージが対象か」は公表されていませんが、延長に寄与する可能性を示すデータが報告されています。適応が明確になり次第ご案内します。

8. まとめ——ステージは「今の状態」を知るための道具です

IRIS(アイリス)ステージは、その子の腎臓が「今どこにいるか」を教えてくれる地図です。ステージが低いほど、できることが多い。だから早く見つけることが大切なんです。

もしまだ健診を受けていない7歳以上の猫がいるなら、まず「腎臓ドック」から始めてみてください。

ノア動物病院(山梨/東京・八王子)

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ノア動物病院では、腎臓病と付き合っていくだけではなく「ならせない」ケアに力を入れています。
小さなお悩みでも、ぜひお気軽にご来院ください。

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