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④AIM(エーアイエム)完全ガイド

仕組み・注射製剤の現状・フードとの違い・正しい付き合い方を獣医師が解説

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慢性腎臓病(猫)

④AIM完全ガイド

「AIM(エーアイエム)という注射が腎臓病を治すと聞いた」

「AIM(エーアイエム)のフードを食べさせれば大丈夫と友人に言われた」

「うちの子はAIM(エーアイエム)の治験に入れますか?」

AIM(エーアイエム)に関する情報は、インターネット上に正確なものと不正確なものが混在しています。過剰な期待も、根拠のない否定も、どちらも飼い主さんの判断を誤らせます。

このページでは、AIM(エーアイエム)とは何か、注射製剤の現在の状況、フードやサプリとの違い、そして「今この子に何ができるか」を、2026年7月時点の情報をもとに正確に解説します。

このページでわかること

AIM(エーアイエム)とは何か、なぜ猫の腎臓に関係するのか / AIM(エーアイエム)注射製剤の開発・治験・承認申請の現状 / AIM(エーアイエム)フード・サプリと注射製剤の根本的な違い / 「今すぐできること」と「待つべきこと」の整理

1. AIM(エーアイエム)とは何か

AIM(エーアイエム)は「Apoptosis Inhibitor of Macrophage(アポトーシス阻害因子オブマクロファージ)」の略称で、マクロファージ(免疫細胞の一種)が産生するタンパク質です。

1999年の発見以来、東京大学の宮崎徹教授らによって研究が進められており、「なぜ猫は腎臓病になりやすいのか」という問いに対するひとつの有力な仮説として注目を集めてきました。

AIM(エーアイエム)の「通常の働き」

健康な状態では、AIM(エーアイエム)は体内の「不要になった細胞の残骸」を除去する働きに関わっています。腎臓においては、尿細管に詰まった老廃物をマクロファージが片付けるのをサポートする役割があると考えられています。

なぜ「猫の腎臓病」にAIM(エーアイエム)が関係するのか

ここが重要なポイントです。犬や人間ではAIM(エーアイエム)は血液中を自由に動き回っていますが、猫ではAIM(エーアイエム)が「IgM(免疫グロブリンM)」という別のタンパク質にしっかりと結合しており、自由に機能しにくい状態になっています。

この「結合によって不活性化された状態」が、猫の腎臓で老廃物が除去されにくくなる一因である可能性が研究で示唆されています。

人間・犬
血中AIM(エーアイエム)の状態 遊離型(自由に動ける) IgMと結合(不活性化されやすい)
腎臓での老廃物除去 比較的スムーズ 詰まりが生じやすい可能性がある
腎臓病の発症率 猫ほど高くない 高齢になるほど急増(15歳以上で30〜40%という報告も)

「AIM(エーアイエム)仮説」はあくまで仮説のひとつです

AIM(エーアイエム)と猫の腎臓病の関係は非常に有力な仮説ですが、腎臓病の原因はこれだけではありません。高血圧・慢性炎症・遺伝・加齢・食事など複数の要因が絡み合っています。「AIM(エーアイエム)さえ何とかすれば腎臓病は解決する」というわけではなく、それが治験・承認のプロセスが慎重に進められている理由でもあります。

2. AIM動物実験で何がわかったか

腎臓病のマウスモデルを使った実験では、AIM(エーアイエム)を投与することで以下の効果が示されています。

  • 尿細管に詰まった老廃物の除去が促進された
  • 尿細管の閉塞が改善した
  • 腎線維化(腎臓がかたくなる変化)が抑制された可能性がある

また猫を対象にした研究でも、AIM(エーアイエム)注射によって腎機能が改善したケースが報告されており、これが注射製剤の開発・治験につながりました。

腎臓の自然修復メカニズムに働きかける新しい治療アプローチへの期待

現在の腎臓病治療は「進行を遅らせる」ことを目標にしています。もしAIM(エーアイエム)注射製剤が正式に承認された場合、「腎臓の自然修復機能を引き出す」という今までにないアプローチが加わる可能性があります。これが「腎臓の自然修復メカニズムに働きかける新しい治療アプローチ」と言われる理由です。ただし承認後も万能薬ではなく、既存の治療との組み合わせで効果を発揮するものと考えられています。

3. AIM(エーアイエム)注射製剤はいつ使えるようになりますか?(2026年7月時点)

AIM(エーアイエム)注射製剤の開発は、現在以下のフェーズまで進んでいます。

時期 内容
〜2025年初頭 前臨床研究(マウス・猫モデルでの有効性・安全性確認)
2025年5月 全国26病院で臨床治験開始。対象:IRIS(アイリス)ステージ3の猫。投与プロトコルの詳細は承認審査の過程で公表される予定です
2025年末〜2026年初頭 治験終了
2026年4月24日 株式会社IAM CATが農林水産省へ製造販売承認を申請(販売名:FeliAIM/フェリエイム)
2026年7月現在 審査中。年内の承認を期待する報道が出ています

※ 上記は2026年7月時点の情報です。承認審査の状況によって変わることがあります。最新情報はご来院時にお伝えします。

「治験に参加できますか?」というご質問について

2025年5月に開始した臨床治験(対象:IRIS(アイリス)ステージ3の猫)はすでに終了しています。現時点で新たに治験に参加することはできません。承認後に適応となった場合は、ノア動物病院でも対応できるよう準備を進めています。

承認後の「適応」はどうなるか

現時点では承認申請の詳細(対象ステージ・投与頻度・費用など)は公表されていません。承認審査の過程で明らかになる予定です。

投与方法は静脈注射になる可能性が高いとされており、その場合は動物病院への通院での投与が必要になります(自宅での皮下補液とは異なります)。費用については数千円〜1万円程度を目標に開発が進められているとされていますが、正式な価格は承認後に公表される予定です。

ノア動物病院では承認後、情報が明らかになり次第、腎臓管理プログラムへの組み込みを検討します。適応情報が入り次第、診察時にお伝えします。

4. AIMフード・サプリと注射製剤はどう違うの?

「AIM(エーアイエム)」という名前がつく製品はいくつかありますが、注射製剤とフード・サプリは仕組みが全く異なります。ここを混同すると、大切な治療をやめてしまうリスクがあります。

AIM30などの名称で販売されているフード・サプリには、AIMそのものが入っているわけではありません。配合されているのはL-シスチンというアミノ酸で、猫の体内でIgMに結合して働けなくなっているAIMを、解離させて活性化させることを狙った成分です。

ただし、この仕組みによって猫の腎臓病を予防・抑制できるかどうかは、臨床試験でまだ確認されていません。開発元であるAIM医学研究所も、臨床試験による確認には数年かかるため、あえて療法食ではなく一般食として発売したと説明しています。

当院では、腎臓病の食事管理はエビデンスが確立されたリン制限・タンパク管理を基本とした療法食を優先しており、AIM関連の市販フード・サプリの取り扱いはしていません。

AIM(エーアイエム)注射製剤 AIM(エーアイエム)フード・サプリ(AIM30等)
AIM(エーアイエム)の届け方 直接血中に投与するため、AIM(エーアイエム)が血中で機能する AIMそのものは含まれない。体内のAIMを活性化させる成分(L-シスチン)を配合
血中での機能 血中AIM(エーアイエム)濃度が直接上昇する可能性がある 体内のAIMを活性化させることを狙うが、猫での効果は未確認
臨床エビデンス 治験完了。2026年4月24日承認申請済み・審査中 腎臓病への治療効果を示す医学的エビデンスは確立されていない
現在の入手方法 未承認。承認後は動物病院で処方 市販(ペットショップ・通販等で入手可能)
位置づけ 動物用医薬品(承認後) 一般食(開発元が意図的に一般食として発売)
当院での取り扱い 承認後に対応予定 取り扱いなし

「AIM(エーアイエム)サプリを飲ませているから大丈夫」は危険な誤解です

市販のAIM(エーアイエム)関連商品は「食品・サプリ」であり、動物用医薬品の治験を経た注射製剤とは根拠レベルが全く異なります。これらの製品を与えることで療法食をやめたり、定期検診を怠ったりするケースが問題になっています。既存の治療の代わりにはなりません。

5. AIM注射製剤が承認されるまで、今できることは何ですか?

AIM(エーアイエム)治療への期待は大きいですが、承認を待ちながら「今できること」を続けることが最も重要です。

内容
今すぐできること 食事管理(療法食・リン制限)を続ける / 水分をしっかり摂らせる / 定期検診(3〜6か月ごと)でデータの「流れ」を把握する / 血圧・UPCのサブステージを管理する
承認後に検討すること AIM(エーアイエム)注射製剤の適応・投与プロトコルが公表され次第、担当医師とその子への適応を相談する
避けること 「AIMフードやサプリを与えているから大丈夫」と思い込んで療法食・検診・薬物療法をやめること。これらは一般食であり、腎臓病への臨床的な効果は確認されていません

「AIM(エーアイエム)が出るまで様子を見よう」は逆効果です

承認を待つ間も腎臓病は進んでいます。現時点で最もエビデンスのある治療──食事・水分・血圧・リン管理──を続けながら、AIM(エーアイエム)注射製剤が承認されたときに「余力がある状態」でその子を迎えさせることが、最善の準備です。

6. ノア動物病院のAIM(エーアイエム)に対するスタンス

ノア動物病院では、AIM(エーアイエム)を「現在進行中の重要な研究領域」として位置づけています。

  • 治験データ・承認審査の動向を継続的にモニタリングしています
  • 承認申請の内容・審査結果が公表され次第、適応基準・投与プロトコルをご案内します
  • 「AIM(エーアイエム)があれば今の治療はいらない」という誤情報にはっきりNOと伝えます
  • 当院ではAIM関連の市販フード・サプリメントの取り扱いはありません。これらは一般食であり、腎臓病への臨床的な効果が確認されたものではないことを、飼い主さんにお伝えしています

私たちの立場は「データが出るまで冷静に待ちながら、今できる最善を続ける」です。AIM(エーアイエム)に関して不安なこと・聞きたいことがあれば、診察時に遠慮なくご相談ください。

7. よくある質問

Q

AIM(エーアイエム)の注射はいつ受けられますか?

A
2026年4月24日に農林水産省へ製造販売承認が申請され(販売名:FeliAIM/フェリエイム)、現在審査中です。順調なら2026年中に承認される可能性があります。承認の情報が入り次第、ご来院の患者さんにお知らせします。
Q

AIM30などの市販フードやサプリは効果がありますか?

A
AIM30などの市販フード・サプリに入っているのはAIMそのものではなく、体内のAIMを活性化させることを狙ったL-シスチンというアミノ酸です。猫の腎臓病に対する臨床的な効果は確認されておらず、開発元も一般食として販売しています。当院での取り扱いはありません。
Q

AIM(エーアイエム)のフードに切り替えたら、今の療法食をやめてもいいですか?

A
絶対にやめないでください。市販のAIM関連フード・サプリは一般食であり、腎臓病に対する臨床的な効果は確認されていません。開発元も、療法食をやめてこのフードに切り替えることは控えるよう呼びかけています。腎臓病の猫には、リンやタンパク質の量を調整した腎臓療法食が推奨されます。
AIM関連の成分が入っていることと、腎臓療法食であることは別のものです。現在の療法食・薬物療法を継続してください。
Q

治験の結果はどうでしたか? 効果はありましたか?

A
2025年5月開始の治験の詳細な結果は、承認申請・審査の過程で正式に公表される予定です。現時点では非公表です。動物実験では腎修復促進・尿細管閉塞改善のデータが示されており、これが治験につながった背景です。
Q

うちの子はStage 3ですが、AIM(エーアイエム)注射が出たら受けられますか?

A
承認後の適応基準(対象ステージなど)は現時点で公表されていません。審査の過程で明らかになり次第お知らせします。Stage 3の場合も、現在の治療(補液・貧血管理・血圧管理など)を続けながら情報を待つことが最善です。
Q

AIM(エーアイエム)は「腎臓病を治せる」のですか?

A
現時点では「治せる」とは言えません。動物実験では腎修復促進の効果が示されており、「今まで存在しなかったアプローチ」であることは確かです。ただし承認後も万能薬ではなく、食事・水分・薬物管理との組み合わせで最大の効果が期待されるものです。正式な効果・適応は承認後の情報をご確認ください。

8. まとめ

AIM(エーアイエム)は、猫の腎臓病治療に新しい可能性をもたらす重要な研究です。注射製剤は2026年中の承認が期待されており、実現すれば「腎臓の自然修復を引き出す」という今までにないアプローチが加わります。

ただし今この瞬間、最も確実にその子の腎臓を守る手段は変わりません。

  • 早期発見のための定期健診(年4回)
  • 食事・リン管理の継続
  • 血圧・UPCのサブステージ管理
  • 水分をしっかり摂らせること

AIM(エーアイエム)が承認されたとき、「余力がある状態」でその子を迎えるために。今日の検診と食事管理が、最善の準備です。

ノア動物病院(山梨/東京・八王子)

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