「AIM(エーアイエム)フードを食べさせれば腎臓病が良くなると聞きました。本当ですか?」
AIM(エーアイエム)に関する情報は急速に広まっていますが、正確に理解されているかというと、難しい部分があります。
結論から言うと、市販のAIM(エーアイエム)フードやサプリは一般食であり、猫の腎臓病に対する臨床的な効果は確認されていません。このコラムでは、これらが何なのか、注射製剤とは何が違うのかを、包み隠さずお伝えします。
このコラムでわかること
AIM(エーアイエム)フード・サプリの正しい理解 / 注射製剤との根本的な違い / 飼い主さんが注意すべきこと / 獣医師としての正直な評価
1. そもそもAIM(エーアイエム)とは何か
AIM(エーアイエム)は「Apoptosis Inhibitor of Macrophage」の略で、マクロファージ(免疫細胞)が産生するタンパク質です。
健康な状態では腎臓の老廃物除去に関わっていますが、猫ではAIM(エーアイエム)が「IgM」という別のタンパク質に結合して不活性化されやすい特徴があります。この「不活性化」が猫の腎臓病のなりやすさと関連している可能性が研究で示唆されており、AIM(エーアイエム)を活性化・補充することが腎臓病への新しいアプローチとして注目されてきました。
詳しい仕組みについてはAIM(エーアイエム)完全ガイドで解説しています。
2. AIM(エーアイエム)フードの中身と位置づけ
AIM30などの名称で販売されているフード・サプリには、AIM(エーアイエム)そのものが入っているわけではありません。配合されているのはL-シスチンというアミノ酸で、猫の体内でIgMに結合して働けなくなっているAIM(エーアイエム)を、解離させて活性化させることを狙った成分です。
ただし、この仕組みによって猫の腎臓病を予防・抑制できるかどうかは、臨床試験でまだ確認されていません。開発元であるAIM医学研究所も、臨床試験による確認には数年かかるため、あえて療法食ではなく一般食として発売したと説明しています。
当院では、腎臓病の食事管理はエビデンスが確立されたリン制限・タンパク管理を基本とした療法食を優先しており、AIM(エーアイエム)関連の市販フード・サプリの取り扱いはしていません。

3. 「でも注射と同じじゃないの?」──ここが大きな違い
ここが最もよく混同される点です。
AIM(エーアイエム)注射製剤(2026年4月24日承認申請済み・審査中/販売名:FeliAIM〈フェリエイム〉)は、精製されたAIM(エーアイエム)タンパクを静脈から直接血中に投与するものです。血中AIM(エーアイエム)濃度が直接上昇し、腎臓の修復に関わることが期待されています。
一方、「AIM(エーアイエム)フード」は口から食べる一般食です。
フードに含まれるのはAIM(エーアイエム)そのものではなくL-シスチンというアミノ酸で、体内のAIM(エーアイエム)を活性化させることを狙った成分ですが、猫の腎臓病に対する効果は臨床試験で確認されていません。
「AIM(エーアイエム)フードを食べさせているから注射と同じ効果がある」は、現時点では言えません。これが重要なポイントです。
| AIM(エーアイエム)注射製剤 | AIM(エーアイエム)フード・サプリ | |
|---|---|---|
| AIMの届け方 | 静脈注射で血中に直接投与 | AIMそのものは含まれない。体内のAIMを活性化させる成分(L-シスチン)を配合 |
| 臨床エビデンス | 治験完了。2026年4月24日承認申請済み・審査中 | 腎臓病への効果を示す臨床エビデンスはない |
| 現在の入手 | 未承認。承認後に動物病院で処方 | 市販(ペットショップ・通販等) |
| 位置づけ | 動物用医薬品(承認後) | 一般食(開発元が意図的に一般食として発売) |
| 当院での取り扱い | 承認後の対応については担当医師にお問い合わせください | 取り扱いなし |
4. 今の療法食・治療をやめていいか──明確にお答えします
「AIM(エーアイエム)フードを食べさせているから、療法食はやめてもいいですか?」という質問が増えています。
答えははっきりしています。やめないでください。
市販のAIM(エーアイエム)フード・サプリは一般食であり、腎臓病に対する臨床的な効果は確認されていません。
腎臓病の管理でエビデンスが最も強いのは、リン管理・水分補給・血圧管理・タンパク尿の治療といった既存のアプローチです。
「AIM(エーアイエム)フードを始めたから療法食を一般食に戻した」「定期検診をやめた」というケースが問題になっています。AIM(エーアイエム)への期待は理解できますが、今ある腎機能を守るためには既存の治療を続けることが最も確実です。

5. 獣医師としての正直な評価
AIM(エーアイエム)は腎臓病研究における本当に重要な発見で、注射製剤への期待は科学的に根拠のあるものです。承認されれば、今まで「進行を遅らせる」しかなかった治療に「修復を引き出す」という新しい選択肢が加わります。
ただし、経口のAIM(エーアイエム)フード・サプリについては、腎臓病に対する臨床的な効果は確認されていません。これらは一般食であり、体内のAIM(エーアイエム)を活性化させることを狙ったL-シスチンを配合したものですが、猫での効果は臨床試験で確認されていないからです。
「期待するな」ではなく、「正しく期待してほしい」というのが私たちのスタンスです。
AIM(エーアイエム)注射製剤が承認されたとき、最も恩恵を受けられるのは「それまでの間、既存の治療を続けてきた猫」です。
6. よくある質問
Q. AIM30などの市販フードを食べさせています。続けてもいいですか?
A. AIM30などの市販フード・サプリに入っているのはAIM(エーアイエム)そのものではなく、体内のAIM(エーアイエム)を活性化させることを狙ったL-シスチンというアミノ酸です。猫の腎臓病に対する臨床的な効果は確認されておらず、開発元も一般食として販売しています。食べさせること自体が直ちに害になるわけではありませんが、これに期待して療法食や検診をやめてしまうことが最大のリスクです。療法食・薬物療法・定期検診を最優先にしてください。
Q. AIM(エーアイエム)注射製剤はいつ使えますか?
A. 2026年4月24日に農林水産省へ製造販売承認が申請され(販売名:FeliAIM〈フェリエイム〉)、現在審査中です。順調であれば2026年中に承認される可能性があります。承認後の対応については担当医師にお問い合わせください。詳しくはAIM(エーアイエム)完全ガイドをご覧ください。
Q. うちの子はStage 3です。AIM(エーアイエム)フードは意味がありますか?
A. 市販のAIM(エーアイエム)フード・サプリは一般食であり、ステージにかかわらず腎臓病への臨床的な効果は確認されていません。Stage 3では補液・貧血管理・血圧管理・リン管理などが優先されます。AIM(エーアイエム)注射製剤については承認後の適応基準が公表され次第、担当医師にご相談ください。
まとめ
市販のAIM(エーアイエム)フード・サプリは一般食であり、腎臓病に対する臨床的な効果は確認されていません。開発元も、療法食をやめてこのフードに切り替えることは控えるよう呼びかけています。
注射製剤の承認を待ちながら、今できる最善を続けること。それが腎臓を守る一番の近道です。
AIM(エーアイエム)フードとの正しい付き合い方
✅ 療法食・薬物療法・定期検診は継続する
✅ AIM(エーアイエム)注射製剤の承認情報は担当医師に確認
❌ 「AIM(エーアイエム)フードで大丈夫」と思い込んで既存の治療をやめない
❌ AIM(エーアイエム)フード・サプリは一般食で、腎臓病への臨床的な効果は未確認。注射製剤とは全く別物
ノア動物病院(山梨/東京・八王子)
猫ちゃんの慢性腎臓病について詳しく知る
ノア動物病院では、腎臓病と付き合っていくだけではなく「ならせない」ケアに力を入れています。
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