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水をよく飲む猫は腎臓が心配?多飲多尿のサインを見逃さないために

水をよく飲む猫は腎臓が心配?多飲多尿のサインを見逃さないために

「最近うちの猫、水をよく飲むようになった気がして」

そんな変化に気づいたとき、腎臓が頭をよぎる飼い主さんは多いと思います。
気づいて受診しようと思えた、それは正しい判断です。

多飲多尿は腎臓病のサインである可能性がありますが、それだけが原因ではありません
このコラムでは、猫の多飲多尿の原因・腎臓病との見分け方・受診のタイミングについて解説します。

このコラムでわかること

猫の「多飲多尿」とは何か / 考えられる主な原因 / 腎臓病サインとして疑うポイント / いつ受診すべきか / 自宅でできる飲水量チェックの方法

1. 猫の「多飲多尿」ってどういう状態?

猫の1日の水分必要量(飲水+食事の水分の合計)は、体重1kgあたり約50〜60mLが目安です。ドライフード中心の場合は飲み水として40〜60mL/kg程度飲むのが一般的ですが、ウェットフード中心であれば飲水量はもっと少なくなります。

教科書的には体重1kgあたり100mL/日以上の飲水が明確な『多飲』の目安とされていますが、数値だけで判断する必要はありません。『その子の普段より明らかに増えた』という飼い主さんの感覚は、受診の十分な理由になります。

体重4kgの猫なら、飲み水として1日200〜240mL程度が目安。
これを明らかに超えている、かつトイレの量・回数が増えているという状態が「多飲多尿」です。

「なんとなく飲む量が増えた気がする」という感覚は案外正確なものです。飼い主さんが気づいたことを軽く見ないでください。

2. 多飲多尿の主な原因とは?

多飲多尿を引き起こす原因は、腎臓病以外にもいくつかあります。

原因特徴・見分けるポイント
慢性腎臓病(CKD)中高齢猫(7歳以上)に多い。体重減少・食欲低下・被毛の艶の低下を伴うことが多い
甲状腺機能亢進症中高齢猫に多い。よく食べるのに痩せる・落ち着きがなく活発すぎるなどが特徴
糖尿病肥満猫・高齢猫に多い。食欲旺盛・体重減少が同時に起きる
子宮蓄膿症避妊していないメス猫。陰部からの排膿・腹部膨満を伴う。緊急性が高い
多飲多尿を起こす薬剤(ステロイドなど)ステロイド系薬を使用中の場合は副作用として起こりうる
暑さ・環境変化気温の上昇・引っ越しなどで一時的に増えることがある。他の症状がなければ様子観察も

その他にも頻度は低いものの重要な原因として、高カルシウム血症、肝疾患、尿路感染症などがあります。これ以外にも多飲多尿を引き起こすものは多岐にわたるため、違和感を感じたら迷わず獣医師に相談しましょう。

3. 腎臓病のサインとして疑うポイント

以下が重なっている場合は、腎臓病の可能性を念頭に置いて受診してください。

腎臓病を疑うサインの組み合わせ

  • ✓ 7歳以上の猫である
  • ✓ 水をよく飲む+トイレの量・回数が増えている
  • ✓ 体重がじわじわ減っている
  • ✓ 食欲が落ちてきた・食べムラが増えた
  • ✓ 被毛の艶が悪くなってきた
  • ✓ 嘔吐が増えた
  • ✓ 元気がなく、寝ていることが増えた

ひとつだけなら様子を見てもよいかもしれませんが、複数が重なっているなら早めの受診をお勧めします。
腎臓病の初期(ステージ1〜2)は症状がほとんど出ないため、「水をよく飲む」という変化が最初のサインであることが多いです。

4. 腎臓病では「多尿が先・多飲が後」

「水を飲みすぎているから尿が増えた」と思いがちですが、腎臓病では逆です。

腎機能が低下すると、腎臓が尿を濃縮する力が落ちます。
薄い尿が大量に出ることで体内の水分が失われ、それを補うために水を多く飲むようになります。つまり「多尿が先、多飲が後」です。

「トイレの砂の消費が増えた」「いつもより大きな尿の塊ができる」「以前より薄い色の尿が増えた」という変化に気づいたら、腎臓の状態を確認するタイミングです。

5. 自宅でできる飲水量チェック

「多く飲んでいる気がする」をより客観的に確認するには、飲水量を1日計測してみるのが有効です。

方法やり方
水の量を測る朝に水皿に入れる量を計量し、翌朝に残量を計量する。差分が1日の飲水量。複数皿がある場合はすべて計測
尿の量を確認する固まる砂トイレの場合、1回のかたまりのサイズが増えていないか確認
体重を測る月1回、自宅で体重計に乗せて記録しておく。じわじわ落ちていないか確認

計測値を持って受診すると、診察の参考になります。
だいたいこのくらい」でも伝えてみてください。

6. よくある質問

Q. 夏だから水を多く飲むのでは?

A. 季節的な増加(気温上昇・エアコンの乾燥)はありますが、他の症状(体重減少・食欲低下・嘔吐など)を伴わない、かつ気温が下がったら戻るのであれば様子観察でも良いでしょう。他の変化が重なっているなら受診をお勧めします。

Q. ウェットフードに変えたら飲水量が減りました。これは正常ですか?

A. 正常です。ウェットフードは約75〜80%が水分のため、食事から水分が摂れるようになると飲み水の量が減ります。トイレの量が著しく減っていなければ、水分摂取量の合計は確保できていると考えられます。

Q. 血液検査で腎臓の数値が正常でも、多飲多尿があれば腎臓病ですか?

A. 血液検査が正常でも腎臓病の初期(ステージ1)の可能性はあります。多飲多尿は腎機能の約2/3、血液検査の異常は約3/4が失われた段階で現れるとも言われており(個体差があります)、「数値正常=腎臓病なし」とは言えません。SDMAや尿比重など複数の検査を組み合わせて評価することが重要です。担当医師に多飲多尿の変化を伝えてください。

まとめ

「水をよく飲む」という変化に気づけたこと自体が、大切な第一歩です。
腎臓病の初期は症状に乏しいため、飼い主さんの「なんか変かも」という感覚が早期発見のカギになることが多いです。

7歳以上の猫で多飲多尿が続いているなら、血液検査・尿検査・血圧測定を受けることをお勧めします。「異常がなければ安心」「早期発見につながれば儲けもの」くらいの気持ちで、まず検査を受けてみてください。

ノア動物病院(山梨/東京・八王子)

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ノア動物病院では、腎臓病と付き合っていくだけではなく「ならせない」ケアに力を入れています。
まずは猫ちゃんの慢性腎臓病について詳しくご説明した下記のページをご覧ください。

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猫の慢性腎臓病 完全ガイド
AUTHOR

ノア動物病院 代表/獣医師

林 文明