MENU

logo

各医院への
初診予約・お問い合わせ

logo

夜間救急について

logo

採用情報はこちら

logo

TOP

logo

コラム

Column

トップページ

コラム

猫の腎臓病サプリメント|本当に効果があるものは?獣医師が正直に解説

猫の腎臓病サプリメント|本当に効果があるものは?獣医師が正直に解説

腎臓病の猫を飼っていると、サプリメントに関する情報が次々と目に入ってきます。

「腎臓に良いサプリ」「AIM(エーアイエム)サプリで改善」「オメガ3が腎臓を守る」
——インターネット上にはさまざまな情報があふれています。

飼い主さんが「少しでも良くなれば」と思う気持ちは当然のことです。
でも、根拠のない製品にお金と期待を注ぎ込んで、本当に必要な治療が後回しになるケースが問題になっています。

このコラムでは、腎臓病の猫に使われることがあるサプリメントについて、現時点のエビデンスをもとに正直にお伝えします。

このコラムでわかること

サプリメントと医薬品の根本的な違い / 根拠がある・なしの整理 / 特に注意が必要な「AIM(エーアイエム)サプリ」について / サプリを使う前に確認すべきこと

1. 「サプリメントと医薬品の違い」って何?

サプリメントは「食品」です。
動物用医薬品とは根本的に異なり、治験(有効性・安全性の臨床試験)を経なくても販売できます。

「動物の腎臓に良い」という表示があっても、それは医薬品としての効果を証明したものではありません。同じ「腎臓」という言葉がついていても、獣医師が処方する薬と市販のサプリでは、根拠のレベルが全く異なります。

これはサプリを否定しているのではなく、「位置づけを正しく理解してほしい」ということです。補助的な役割として使うなら、選び方と使い方が重要になります。

2. 腎臓病でよく使われるサプリに、本当に効果はあるの?

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)

オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)は抗炎症作用から腎臓病領域で注目されており、犬ではエビデンスが比較的多く報告されています。

猫では後ろ向き研究や小規模試験で効果が示唆されていますが、まだ研究途上の段階です。腎臓療法食の多くにオメガ3が配合されており、療法食を通じて摂取するのが一般的です。

腸内吸着剤(活性炭製剤・コバルジン等)

これはサプリというより、日本では医薬品扱いの製品もあります。
腸管内で尿毒素の前駆物質(インドールなど)を吸着し、結果として血中のインドキシル硫酸などの尿毒素負荷を下げることを狙う製品です。
ステージ3〜4で使用されることが多いです。

獣医師が処方する製品(コバルジンなど)は根拠があります。
「炭のサプリ」と混同しないよう注意が必要です。

AIM(エーアイエム)フード・サプリ

AIM30などの名称で、AIMを活性化させるとうたうフード・サプリが販売されています。

しかし、AIMはタンパク質であり、口から摂取しても胃や腸で消化・分解されます。食べたAIMがそのまま腎臓に届いて機能することはありません

また、フードに含まれる成分が体内でAIMを活性化させるという主張についても、猫での臨床的な効果は確認されていません。
AIM注射製剤(承認申請準備中)は、精製されたAIMタンパクを静脈から直接投与するもので、経口製品とは根本的に異なるアプローチです。

ノア動物病院ではAIMフード・サプリ・AIM活性化療法食の取り扱いはしていません。

プロバイオティクス(乳酸菌等)

腸内環境を整えることで、腸内での尿毒素産生を抑える可能性が研究されています。
腎臓病との関連では「腸腎連関」という概念が注目されていますが、猫での臨床エビデンスはまだ限定的です。

一般的な安全性は高く、副作用のリスクも低いため、補助的に使うこと自体は大きな問題はないとされています。
ただし「これで腎臓が良くなる」とは言えません。

ホスファチジルセリン・コエンザイムQ10・各種「腎臓サポートサプリ」

市場にはさまざまな「猫の腎臓に良い」とうたうサプリが存在します。
成分によっては動物実験レベルのデータがあるものもありますが、猫での有効性を示す十分な臨床エビデンスがないものが多いのが現状です。

「成分名が書いてある」「獣医師監修と書いてある」だけでは、根拠の判断はできません。

3. サプリを使う前に確認すべき3つのこと

① 今使っている薬・療法食との相互作用はないか

サプリの成分によっては、処方薬・療法食との相互作用が生じることがあります。
特にカリウム・リン・オメガ3など、すでに療法食や薬で管理している成分が重複すると過剰摂取になるリスクがあります。

② 「サプリを使うことで何かをやめる気になっていないか」

「AIM(エーアイエム)サプリを始めたから療法食を少し戻した」
「サプリを飲ませているから検診は半年に1回でいいかな」
——こういった思考が起きやすいのが、サプリの最大のリスクです。

③ 担当医師に伝えているか

使っているサプリを担当医師に伝えていない飼い主さんは多いです。
「サプリくらい」と思わず、必ず伝えてください。相互作用・重複摂取・不要な成分のスクリーニングをしてもらえます。

4. よくある質問

Q. AIM(エーアイエム)のサプリを飲ませています。続けていいですか?

A. AIMフード・サプリに腎臓病の治療効果はありません。AIMはタンパク質であり、口から食べると胃で消化・分解されるため、腎臓に届くことはないからです。食べさせること自体が直ちに有害というわけではありませんが、治療効果を期待して療法食や検診をやめてしまうことが問題です。療法食・薬物療法・定期検診を最優先にしてください。

Q. フィッシュオイルを追加で与えてもいいですか?

A. 療法食にオメガ3が配合されている場合、追加が必要かどうかは担当医師に確認してください。過剰摂取のリスクがあります。療法食でオメガ3が補えている場合、追加の効果は限定的です。

Q. 「獣医師推奨」と書いてあるサプリは信頼できますか?

A. 「獣医師推奨」「獣医師監修」という表示は、医薬品としての有効性を保証するものではありません。どの獣医師が、何をもとに推奨しているかが重要です。判断が難しい場合は担当医師に成分を見せて相談してください。

まとめ

サプリメントは「補助」です。療法食・薬物療法・定期検診という治療の土台の上に、必要に応じて加えるものです。

「何かしてあげたい」という気持ちはよくわかります。
ただ、その気持ちを向ける先として最も確実なのは、療法食を続けること、定期検診を受けること、脱水を防ぐこと——地味に見えて、これが一番です。

サプリを使うときの基本方針

  • ① 担当医師に成分を伝えて相互作用を確認する
  • ② 療法食・薬・定期検診の代わりにはしない
  • ③「飲ませているから大丈夫」という思い込みに注意する
  • ④ AIMフード・サプリに治療効果はない。AIM注射製剤(承認申請準備中)とは全く別物

ノア動物病院(山梨/東京・八王子)

猫ちゃんの慢性腎臓病について詳しく知る

ノア動物病院では、腎臓病と付き合っていくだけではなく「ならせない」ケアに力を入れています。
まずは猫ちゃんの慢性腎臓病について詳しくご説明した下記のページをご覧ください。

\ もっと詳しく知る /

猫の慢性腎臓病 完全ガイド
AUTHOR

ノア動物病院 代表/獣医師

林 文明